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「第2次日中戦争」に仕掛けられた米国の罠

日本国民の生命を危険に晒す高市政権

[2025.12.1]



中国による台湾侵攻の際に海上封鎖が予想される「三峡」(台湾海峡、宮古海峡、バシー海峡)
(C)Newsweek


国家が国民を犠牲にするようになった原因



 今や自由主義国家としての日本国は、高市政権によって滅ぼされようとしている。

 本来「国民の生命と財産を守る」事が、自由主義国家にとって唯一の義務である。

 この思想は「夜警国家論」とも呼ばれ、17世紀の英国の思想家ジョン・ロックに始まり、その後アダム・スミスに継承されて、英米の自由主義諸国の共通認識となっていた。

 そして最も重要な事は、自由主義国家は「国民の生命と財産を守る」以外の義務や価値観を有してはならない、という事である。

 国家が特定のイデオロギーや宗教などの価値観を持てば、戦争や対立の原因になる上に、「国民の生命と財産を奪う」結果につながる為、自由主義国家は「国民の生命と財産を守る」以外の価値観を持つべきではないのである。

 一方、各個人それぞれが様々な思想やイデオロギーを持つ事は自由であるし、個々人の宗教や価値観の多様性は認められる。

 しかしながら、自由主義国家は個人とは異なり、特定の価値観を保有してはならないのが原則である。

 そうした英米的な自由主義的国家観に水を差したのが、ドイツ観念論哲学者ヘーゲルであった。

 ヘーゲルは、弁証法の概念を用いて「精神」の発展段階を説き、もともと未熟だった「精神」が「家族」や「社会」を経て、「国家」に至って「絶対知」に到達するとした。

 ヘーゲルの言う「絶対知」に到達した「精神」とは、「神」のことに他ならない。従って「国家に精神が宿る」とは、「国家に絶対神が宿る」と同義になる。

 このようなヘーゲル思想以降、人類にとっての国家観が狂い始めたと言って良い。

 ヘーゲルの国家観は、やがてプロイセンのみならず、多くの近代国民国家の基本理念となり、広くヨーロッパ全体に浸透するようになった。

 かくして近代国民国家は、ヘーゲル主義によって統治される事となった。

 たとえそれがヘーゲルの思想だとは知らなくても、近代に生きるほとんどの人々にとっては、「国家が共同体の最高の発展段階」であって、「国家には神が宿る」という事が、当たり前の「常識」になっている。

 その結果、ロックやスミスのような本来の自由主義的国家観は、人々から忘れ去られていった。

 やがて時代を経て、ヘーゲル主義者の中で「神」を信じない人々は、「神」を「階級」に置き換え、「ヘーゲル左派」を形成した。マルクスやエンゲルスらがそれである。

「ヘーゲル左派」は、後に「共産主義」となって世界を混乱させることになった。

 一方、ヘーゲル主義者の中で「神」を信じ、「国家」を実際に「神の国」へと作り変えようとする人々は「ヘーゲル右派」となった。

 そうした「ヘーゲル右派」の完成形が「ナチズム」である。

 かくして20世紀の前半には、「ヘーゲル左派」から生まれた共産主義者がソビエト連邦を建国し、「ヘーゲル右派」を起源とするナチズム運動がドイツ第三帝国を建設した。

 因みに戦前の日本の「国体思想」は、100パーセント「ヘーゲル右派」の思想である。

 このように、ヘーゲル哲学が生み出した政治思想は左右の「全体主義」をもたらした。

 つまり国家が国民の生命を犠牲にするようになった根本原因は、ヘーゲル思想にある。

 国家にイデオロギーなどの価値観を賦与すれば、必ず国家は国民に犠牲を強要するようになるのである。

 こうした事は、中国や北朝鮮やタリバン政権下のアフガニスタンなどを見ても明らかである。

 前回論じたように、かつて日本が自由主義国家ではなかった時代、「国体護持」を至上価値としていた大日本帝国は、最終的に310万人の国民を犠牲にした。

 日本国民は、こうした悲劇を二度と繰り返してはならない。

 もしも教養の乏しい総理大臣が、「国民の生命と財産を守る」という本来の義務とは別の価値観を国家に付与して、国民の生命を危機に陥れようとするならば、直ちに総辞職させるべきである。

 そのような人物は、自由主義国家のリーダーになってはならないからである。

 自由主義国家に余計な価値観が加われば、必然的に国民の生命が国家の犠牲にされてしまう結果になる。こうした事態は絶対に繰り返してはならない。

 しかしながら高市首相は、台湾有事の際に「対中戦争」を始めようとしている。

 それは決して国の為でもなければ、国民の為でもない。

 ただ単に「高市早苗」という一個の人間の個人的な「無知」と「プライド」によって、1億2千万人の国民の生命と財産が危険に晒されているのである。

 以下、そうした事情について考えてみよう。



「無知」と「プライド」だけの首相が国を滅ぼす



 11月7日の衆議院予算委員会で、「台湾とフィリピンの間のバシー海峡が封鎖されたら、存立危機事態になるか」という立憲民主党の岡田克也議員の質問に対して、高市早苗首相は、「台湾に対して武力攻撃が発生したり、戦艦で海上封鎖をし、その際に武力行使を伴った場合は、どう考えても存立危機事態になり得る」と答弁した。

 因みに、1992年に米国海軍のアイオワ級戦艦が退役して以降、この地球上に「戦艦」は存在していない。高市首相は「愛国保守」を掲げている割には軍事知識が乏しいようである。

 それはさておき、国会答弁で問題とされた「存立危機事態」とは、「事態対処法」第2条第4項に定義された「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を指す。

 そしてその場合、自衛隊は防衛出動が出来るとされる。

 この答弁が、国際的な波紋を呼ぶことになった。

 中国の薛剣駐大阪総領事は、ネット上に「勝手に突っ込んできたその汚い首は、一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟はできているのか」と投稿した。

 また数日後、中国外交部報道官は薛剣総領事を擁護する形で次のようにコメントした。

「薛剣総領事の投稿は、(高市首相の)台湾を巡る『誤った、危険な発言』に対するものだ。 日本側は台湾問題をめぐる発言について自らの歴史的責任・安全保障上の立場を真摯に見直すべきだ」

 さらにこの問題は日中間の外交問題にまで発展し、中国当局は国民に向けて日本への渡航自粛を呼び掛けた。また日本からは外務省官僚が北京に赴いて事情を説明した。

 だがここで注意すべき事は、今回の問題は全て、高市首相自らが「存立危機事態」について全く理解していなかった事に起因しているということである。

 正確に言うと、「事態対処法」で定義された「我が国と密接な関係にある他国」とは「米国」のことであり、それ以外の意味は無い。

 まず「平和安全法制」のそもそもの立法主旨が、片務的であった従来の日米間の防衛役割分担を、より対等で双務的な関係に近づける事が主目的だったのだから、それは当然である。

 しかしながら高市首相は、「我が国と密接な関係にある他国」が、「台湾」のことであると思い込んでいたようである。

 1972年以降、日本も米国も台湾を「国」とは認めていない為、「事態対処法」に定義された「他国」とは、決して「台湾」ではあり得ない。立法主旨からしてもそれが「米国」を指す事は明らかであった。

 従って法的には、「台湾有事が日本有事」なのではなく、極東地域における「米国有事が日本有事」なのである。

 だが高市首相は、この程度の理解すら出来ていないのである。

「事態対処法」が定義する「存立危機事態」の部分を分かり易く表現し直すならば、「米国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本国の存立が脅かされ、日本国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を「存立危機事態」というのである。

 さらにそれを具体的に言い換えるならば、たとえ日本の領海外であっても、米国艦船等が武力攻撃されて、このままでは日本国そのものが甚大な被害を受けてしまうという場合に、日本の自衛隊が出動出来る、という意味である。

 つまり「事態対処法」では、「台湾」という言葉も無ければ、「台湾」という概念すら存在していないのである。

 それにも関わらず、高市首相は「台湾に対して武力攻撃が発生したり、海上封鎖で武力行使がされたら存立危機事態になる」と国会で答弁したのである。

 これは完全に、高市首相の無知と無理解によって生じた「大失言」であった。

 おそらく高市首相は、公職者としての発言ではなく高市早苗としての個人的な信条を、国会の場で吐露してしまったのであろう。

 日華議員懇談会のメンバーでもあり、台湾の頼清徳総統とも親しい高市早苗が、個人的信条として「日本は台湾の為に戦うべきだ」という思いを持っている事は理解できる。

 だが少なくとも総理大臣の地位にある者が国会で答弁する際には、従来の政府見解と法律に基づいて発言をしなければならない。さもなければ法治国家における統治者としては不適格なのである。

 そしてさらに重大な問題は、その後も高市首相が発言撤回をせず、謝罪すらしなかった事である。

 原因は100パーセント高市首相の「無知」に由来する失言であったのだから、高市首相自らが素直に発言を撤回して謝罪しさえすれば、何とか事態は収拾できたはずであった。

 中国外交部が、高市発言を公式に批判するまでに日数をおいていたのは、高市首相からの公式謝罪を待っていた為でもある。

 それにも関わらず高市首相は、発言の撤回も謝罪も拒否し続けた。

 その結果、日中関係は最悪の状態になり、経済悪化を懸念して日経平均株価が暴落するなど、かなりの国益が喪失された。

 こうした「絶対に謝らない」という高市首相の態度は、一部の「ニセ愛国保守」の人々からは賞賛されるであろうが、己の非を認めずプライドにこだわって国益を損ねるような人物が、このまま一国の首相を続けるならば、いずれは国民全体が大きな被害を被ることになるだろう。

 実際のところ、これが原因で戦争になってもおかしくないのである。

 自分が犯した小さな過ちでさえ謝罪できないような人間は、やがて大きな過ちを繰り返すようになる。そしてその先には、必ず巨大な破局が待っている。

 これまで常に戦争の原因を作ってきたのは、高市首相のように「無知」と「プライド」だけの政治家であった。前回述べた近衛文麿などが良い例である。

 高市首相は以前から、英国の「鉄の女」と呼ばれたサッチャー首相を尊敬している事を明言してきたが、そもそも「サッチャリズム」と、高市の目指す「積極財政」とは、絶対に両立し得ないのである。

「小さな政府」を目指して緊縮財政を推進したサッチャー首相と、積極財政を唱える高市首相とでは、政治思想が正反対であり、経済政策も真逆なのであるから、両者は全く相容れないはずである。

 つまり高市首相は、政治家としてのサッチャー首相を尊敬しているのではなく、フォークランド紛争を引き起こしてアルゼンチンに勝利した戦争指導者としてのサッチャー英国軍最高司令官に憧れているだけなのである。

 いつも安全地帯にいる高市首相にとっては、たとえ戦争を引き起こしたとしても平気でいられるだろうが、実際に戦争に巻き込まれて死ぬのは数多くの日本国民である。

 今回の高市首相の非常識な対応に対して中国当局が怒りを表明したのは当然であるし、米国当局でさえ高市首相に対して呆れ返っていた。

 11月10日、米FOXニュースのインタビューで、トランプ大統領は、高市首相の台湾有事発言やそれに対する中国の反応について問われた際に、「中国は友好国とは呼べないが、同盟国の多くも友好国とは言えない」「米国を最も利用しているのは、中国よりもむしろ同盟国だ」と述べた。

 さらにトランプ大統領は、中国総領事の「首切り発言」については一切コメントすることなく、「習近平国家主席とは非常にうまくやっている」と語った。

 日本は米国に80兆円もの投資を約束したにも関わらず、トランプから「友好国ではない」と言われ、完全に突き放された形である。

 一昔前と違って、米国は必ずしも日本の味方をしてくれるわけではない。

 ただし、米国にも米国の言い分がある。

 米国やトランプ大統領にとって、今回の高市発言は「迷惑」でしかなかったのである。

 トランプ政権のブレーンでもある米保守系シンクタンク「ハドソン研究所」のパトリック・クローニン安全保障部長は、外交上の観点から「高市氏が公の場で仮定のシナリオに踏み込んだことは必ずしも賢明とは言えない」と指摘している。

 穏やかな表現であるが、米国側の怒りの強さは十分に伝わってくる。

 そもそも「台湾有事は日本にとっての存立危機事態になる」などという文言は、安倍首相とトランプ大統領との間で出された2017年の「日米共同声明」の中にも存在しない。

 なぜならば、もしそのような文言が明記された場合、中国は台湾侵攻の際に、日本に対して同時に武力攻撃せざるを得なくなるからである。

 それは、多くの日本国民の生命を危機に陥れる事を意味する。

 文言一つが「戦争の抑止力」になる場合もあるが、大抵の場合は、文言一つが「戦争の原因」になるのである。

 この程度の事も分からない高市早苗という人物を内閣総理大臣の座に就けてしまった事こそ、我が国にとって本当の「存立危機事態」と言えるだろう。



台湾有事に「日米連携」はあり得ない



 首相不適格者の高市早苗は、今もなお米国が「世界の警察官」であり、世界の自由主義を守る為に戦ってくれる国であると信じているようである。

 先般のトランプ来日時における高市首相のはしゃぎぶりは、「対米従属」を全世界にアピールしたようなものであった。

 日中間の外交問題にまで発展した11月7日の高市首相の国会答弁も、「私のバックには米国が付いている」という安心感に由来する強気発言だったと思われる。

 ただし、高市首相のこうした大きな勘違いを根本から正さない限り、今後も高市首相は失敗を繰り返し続けることになるだろう。

 そしてそれは取りも直さず、日本国民全体に「生命の危機」をもたらす結果となる。

 これまで日本政府や自衛隊が想定している台湾有事シナリオは、「中国が台湾に武力侵攻すれば、米国が台湾防衛の為に軍を派遣して来るから、日本の自衛隊は米軍と緊密に連携して防衛作戦を行う」というパターンのみである。

 従って日本政府も自衛隊も、台湾有事に際しては「日米連携」の軍事作戦以外のシナリオは全く想定していない。

 しかしながら、中国がもし台湾に武力侵攻するケースがあり得るとすれば、「米国が参戦しない」場合だけである。

「米国との全面戦争は絶対に回避する」というのが、中国の対外戦略の大原則だからである。

 従って現実には、中国による台湾武力侵攻は、米軍が参戦しないか、あるいは参戦できない状態においてのみ実行される事になる。

 当然の事ながら、日本政府や自衛隊が想定する「日米連携」の軍事作戦は成立し得ない。

 米国が決して「二正面作戦」をとれない事を知っている中国は、米軍がロシア方面もしくは中東方面に展開したならば、そのタイミングで台湾への武力侵攻を開始する予定である。

 米軍がロシア方面または中東方面に展開した場合、米国は台湾方面に派兵出来なくなるからである。

 もしそのタイミングで台湾有事が発生した際には、米国は一応、僅かな艦船を台湾方面に派遣して「米国は台湾を支援している」という形だけ示しながら、実際の戦闘は全て日本に押し付けてくるであろう。

 その際に、「距離的に近い日本が責任を持って台湾防衛に関与すべきだ」と米国から言われたならば、果たして日本政府はそれに反論出来るだろうか。

 また米国は「この時の為に、膨大な量の武器や防衛装備品を、これまで米国から日本に提供してきたのだから、日本が積極的に戦うのは当然だ」と要求してくるはずである。

 本来ならば、その場合でも日本政府は、米国からの要求に全く従う必要は無い。

 米国に対する武力攻撃も無く、我が国の存立が脅かされているわけでもなく、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるのでもなければ、自衛隊派遣の必要は無く、「専守防衛」に徹するのが筋である。

 だが、「無知」と「プライド」の権化である高市早苗は、米国からの理不尽な自衛隊出動要請に喜んで応じる可能性が高い。

 高市早苗にとって台湾有事の勃発は、自分が憧れのサッチャーのようになり得る絶好のチャンスなのである。フォークランド紛争を戦って勝利した「鉄の女」のように自分がなれると思えば、天にも昇る気分であろう。

 しかしながら、もし自衛隊が台湾防衛の為に台湾領内に入った瞬間、中国はそれを日本による「侵略行為」と見做し、事実上の「宣戦布告」であると判断することになる。

 なぜなら、日本や米国や台湾自身が「台湾領」と見做している台湾の領土や領海や領空は、中国当局にとっては、それら全てが中華人民共和国の領土や領海や領空であるからである。

 中国にとって台湾問題はあくまで「内政問題」である為、中国軍が台湾に武力侵攻をしたとしても、中国にとっては、天安門事件の際に軍が北京を制圧した行為と同じなのである。

 従って、もし日本の自衛隊が台湾防衛の為に台湾領内に入ったならば、その行為は中国からは「日本軍による中国侵略」であり「日本軍による先制攻撃」であると解釈される。

「日本軍による先制攻撃」を理由に戦争が起きた場合、最終的にどのような結末になるかを、我が国は80年前に経験している。

 万一、「日本軍による先制攻撃」を理由に「第2次日中戦争」が勃発したならば、それは「日本国の消滅」を意味するであろう。

 中国当局としては、交戦相手が米国ではなく日本だけであれば、躊躇なく「対日宣戦布告」に踏み切るはずである。

 中国で幼少期から反日教育を受け、対日報復感情に溢れている人民解放軍の兵士達は、誰もが「日本軍を撃滅したい」と切望している。

 また人民解放軍兵士の多くは、「米国兵と戦うのは気が引けるが、日本人相手なら皆殺しにしてやる」と意気込んでいる。

 さらに今や最先端技術の兵器を有する中国軍にとって、旧式装備しか持たない日本の自衛隊は、格好の餌食となるであろう。

 前回、近衛文麿という史上最悪の内閣総理大臣について述べたが、今や歴史は同じ過ちを繰り返そうとしている。

 無知でプライドだけが高い人間が一国の首相になってしまえば、本当に国家が滅亡するのである。

 再び過ちを繰り返さない為に、日本政府が為すべき最優先課題は、幻の「日米連携」に期待する事でもなければ、「台湾防衛」の為の戦争でもなく、あくまで「対中開戦の回避」であり、その為の外交努力であらねばならない。



米国の本心=「対日超党派報告書」とは



 台湾有事の際、かりに在日米軍が参戦して日本が協力する場合においても、「日本の自衛隊は直接の戦闘には参加しない」という方針が絶対に必要であり、あくまで「後方支援」に徹するべきである。

 自衛隊は、決して中国軍と直接交戦してはならない。

 その理由は、「米国が仕掛ける罠」に嵌る事態を回避する為である。

 米国は2013年に「世界の警察官」をすでに辞めており、現在では「米国第一」の利己主義に凝り固まった帝国主義国家に変貌しているという現実を直視しなければならない。

 因みに、米国の基幹産業は軍需産業であり、軍産複合体が国家の経済力を支えている。

 というよりはむしろ、アメリカ合衆国という国家は、軍産複合体によって運営され、維持されている国なのである。

 従って、軍産複合体にとっての利益こそが、米国の国益なのである。

 現在のロシア・ウクライナ戦争は、やがて停戦合意に至るであろう。

 そうなれば、米国の軍産複合体にとっては、「次の戦争」が必要になる。

 米国の軍産複合体は「次の戦争」として、アジアにおいて「第2次日中戦争」の勃発を希望している。

 今後トランプ政権は、日本に対GDP比5パーセントの防衛費を要求する予定であるが、それは間違いなく「第2次日中戦争」を視野に入れた計画である。

 ただし増額された日本の防衛費は、丸ごと米国から高額の兵器を購入する費用に消え、米国の軍産複合体の利益になる。

 かくして米国は、これからますます日本に対して大量の兵器や防衛装備品を法外な値段で売り続け、日本は価格交渉もせずに米国側の言い値で買い続けることになる。

 しかしながら「対米従属一辺倒」の高市首相は、今もなお米国が世界の自由の為に戦う「正義の味方」であり「世界の警察官」であると信じ込んでいる。

 何せ「戦艦」がまだこの世にあると思っているくらいの無知であるから、高市早苗の頭の中は30年以上も遅れているのである。

 高市首相は、喜んで米国の軍産複合体の要求に応じて防衛予算を増額し、何も知らずに米国製の旧式の「型落ち」兵器を高値で購入し続けるだろう。

 さらに高市首相は、それを「積極財政」だとして自画自賛するかも知れない。

 だが実際には、日本国民の血税が米国に大量流出してしまうだけであり、日本国内の景気が良くなる事は決して無いのである。

 どうやら国民が早く目を醒ますしかないようである。

 近い将来、台湾有事を契機に「第2次日中戦争」が勃発すれば、米国はそれを長期化させて、出来るだけ米国の軍需産業が儲かるように誘導するであろう。

 それはまさしく軍産複合体のシナリオ通りである。

 米民主党政権下で何度も政府高官を務めたハーバード大学の国際政治学者ジョセフ・ナイ教授が、2008年に上下両院の200名以上もの国会議員を超党派で集めて作成した「対日超党派報告書」という文書が存在する。

「対日超党派報告書」は、下記のような内容である。

1.東シナ海、日本海近辺には、未開発の石油・天然ガスが眠っており、その総量は世界最大の産油国サウジアラビアを凌駕する分量である。米国は何としてもその東シナ海のエネルギー資源を入手しなければならない。

2.そのチャンスは、台湾と中国が軍事衝突を起こした時である。当初、米軍は台湾側に立ち、中国と戦闘を開始する。また日米安保条約に基づき、日本の自衛隊もその戦闘に参加させる。中国軍は、米日軍の補給基地である在日米軍基地や自衛隊基地を「本土攻撃」するであろう。本土を攻撃された日本人は逆上し、本格的な日中戦争が開始される。

3.米軍は戦争が進行するに従い、徐々に戦争から手を引き、日本の自衛隊と中国軍との戦争が中心となるように誘導する。

4.日中戦争が激化したところで米国が和平交渉に介入し、東シナ海、日本海でのPKO(平和維持活動)を米軍が中心となって行う。

5.東シナ海と日本海での軍事的・政治的主導権を米国が入手する事で、この地域での資源開発に圧倒的に米国エネルギー産業が開発の優位権を入手する事が出来る。

6.この戦略の前提として、日本の自衛隊が自由に海外で「軍事活動」が出来るような状況を形成しておく事が必要である。


 この「対日超党派報告書」に記載された米国の国家戦略は、現在も変わる事なく進行中である。

 ジョセフ・ナイ教授は、リチャード・アーミテージ氏と並んで、米国政府の国家戦略に最も多大な影響力を持つ歴代大統領のブレーンであった(今年5月逝去)。

 民主党や共和党を問わず、米国の対日戦略はこうするべきだ、というジョセフ・ナイ教授の「対日超党派報告書」は、それ以降の米国の国家戦略や対日方針に多大な影響を与えてきた。

 米国からの強い要求で、2015年に安倍政権が国会で成立させた「平和安全法制」もまたこの「対日超党派報告書」に基づくものであった。

 さらに今後の極東情勢は、「対日超党派報告書」のシナリオ通りに進む事が予想される。

 米国はこのように、日本を守るどころか、中国と戦わせて共倒れさせようとしているのである。

 そもそも100年前から、米国にとっては、「日本と中国とを戦わせ、双方を弱体化させて共倒れさせる」という方針が、対アジア戦略の基本原則であった。

 政治能力が素人同然の高市首相は、いずれ米国政府の口車に乗せられて、日本国民の生命と安全を危険に晒し、「第2次日中戦争」へと突き進むことであろう。

 その結果日本は、米国に誘導されて中国と戦ってみたら、いつの間にか「味方」であったはずの米国がいなくなっていた、という暗黒の未来図が予定されているのである。

 日本国民は今後、米国によって仕掛けられる「対中戦争」への道を、何としてでも食い止めなければならない。

 そして我が国は、あくまで「専守防衛」に徹し、米軍との協力は「後方支援」のみに留めるように、戦略を転換させる必要がある。

 さもなければ、「対日超党派報告書」の計画通りに「第2次日中戦争」が引き起こされ、日本国民の多くが犠牲にされた上、日本という国さえ失われるであろう。

 その前に日本国民は、一刻も早い「高市退陣」を実現させなければならないのである。



台湾有事の際は、NATOの対応に学ぶべし



 上にも述べたとおり、「事態対処法」が定義する「存立危機事態」は、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」とされる。

 現在国内で行われている議論では、この定義前半の「密接な関係にある他国に対する武力攻撃」に際して日本が武力を行使することに焦点が当てられる傾向にある。

 ただし我が国で定められた「平和安全法制」は、一般的な集団的自衛権を認めたものではなく、あくまでも「限定的な集団的自衛権」である。

 それを定めたのが、上記の定義後半の「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合に初めて武力を行使できるという規定である。

 つまり、存立危機事態における集団的自衛権が「限定的」だと言われるのは、「武力行使の手段が限定される」という意味ではなくて、「武力行使できる事態が限定されている」という意味なのである。

 従って、存立危機事態における日本の武力行使は、「真に日本国民の生命等が脅かされる事態に限って発動できる」と解釈しなければならない。

 このように「平和安全法制」で規定された「限定的な集団的自衛権」は、一般的な集団的自衛権よりもむしろ「個別的自衛権」あるいは「専守防衛」に極めて近い概念である。

 以上を踏まえれば、日本が「存立危機事態」を認定する際の真の判断基準は、「台湾がどのように武力攻撃されるか」にあるのではなく、「日本国民に明白な危険が迫っているか否か」にある。

 そうであれば、たとえ中国による台湾に対する武力攻撃があったとしても、それだけでは日本国民の生命が直接脅かされる事にはならない為、日本の自衛隊が武力行使できる事にはならないはずである。

 台湾有事における日本の立場は、ウクライナ戦争におけるNATO加盟国の立場と、ほぼ相似形で対応している。

 ロシアによるウクライナへの武力侵攻に際して、NATO加盟国は政治的にウクライナを支持し、兵器供与を含め各種の支援を行っているが、直接ウクライナ防衛のために兵力を送ることは避けている。

 もし仮にNATO加盟国が兵力を送れば、ロシア側がNATO加盟国に対し直接攻撃する事態は避けられないからである。

 欧州で全面戦争が起きるという最悪の事態を回避する為に、NATO加盟国はウクライナとは一定の距離をおいているのである。

 そして現状のヨーロッパの構図は、近い将来における極東の構図とほぼ同一である。

 中国が台湾に対して武力侵攻した際には、日本は現在のNATO加盟国と同じ立場に置かれることになる。

 この場合に、日本政府がとるべき最優先の対応は、NATO加盟国のウクライナへの対応と同様、「戦争拡大を防ぐ」事にある。

 そうした意味で、日本はNATO加盟国の対応に学ばなければならない。決して米国政府や軍産複合体や高市首相の思うが儘にさせてはならないのである。

 万一、中国による台湾への武力侵攻といった事態が起きた場合には、日本政府は毅然たる態度でこれに反対し、中国に対して経済制裁を含む然るべき制裁措置をとるべきである。

 しかしながら、それは中国に対する武力行使を意味しない。

 日本は政治的に台湾を支持し、兵器供与を含め各種の支援を行うが、台湾防衛のために直接兵力を送る事は避けなければならない。

「第2次日中戦争」への戦線拡大を防止する為にも、台湾とは一定の距離をおくべきである。

 またその際には、決して米国の口車に乗せられてはならない。

 米国は軍産複合体の意向に従って、必ず日本を「対中戦争」に参戦させようと誘導してくるだろう。

 かつてコミンテルンがやったのと同じ「日中共倒れ戦略」である。

 ここまで読んだ人はすでに気付いているだろうが、現在の日本国内にも、ゾルゲや尾崎秀実と同様の役割をしている人々がおり、積極的に謀略活動をしているのである。

 昭和初期においては、「無知」と「プライド」の塊であった近衛文麿首相が、コミンテルンによって仕掛けられた罠に嵌められた結果、最終的に310万人もの日本人が亡くなった。

 もし再びそのような罠に嵌ってしまったら、今度こそ日本国は終わりである。

 前回も述べたとおり、「先の戦争」の原因を作ったのは、全て文民であった。軍部はむしろ開戦を止めようと努力していたのである。

 文民政治家の無責任な政策が国家を滅ぼす原因を作るという事実こそが、歴史の教訓なのである。

「無知」と「プライド」の塊である高市首相であれば、米国によって仕掛けられた罠に簡単に嵌って、「第2次日中戦争」を始めてしまうに違いない。

 高市首相は、フォークランド紛争を戦い抜いた「鉄の女」サッチャー首相と自分とを重ね合わせて夢心地であろう。

 だが「第2次日中戦争」は、英国軍が短期間でアルゼンチン軍を打ち負かしたフォークランド紛争のようにはいかない。

「第2次日中戦争」が泥沼の長期戦になれば、間違いなく数百万人単位の犠牲者が出ることになる。

 そればかりか、米国が日本を置き去りにして梯子を外すのであれば、日本は国ごと消滅する可能性さえあるだろう。

 自由主義国家としての日本国が今後も存立し続ける上で為すべき事は、米国の圧力で安倍政権時代に制定された「平和安全法制」を抜本的に改正し、「専守防衛」の原則へと方向転換し、かつそれを厳守する事である。

 その前に、先ずは高市内閣を早急に総辞職させなければならない。

 自由主義国家にとって、「国民の生命と財産を守る」以外の価値観などは不要なのである。















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