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激動の2025年を迎えるにあたって

「国家」の論理を超越したネット世代の出現

[2025.1.1]



ノーベル平和賞を受賞した日本被団協 (12月10日、ノルウェー・オスロにて)
PHOTO (C) AP共同


「戦争」や「平和」について考える契機



 2024年12月、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞した。

 日本被団協は、 広島と長崎で原爆の被害者となり、その後を生き抜いてきた生存者達による草の根運動である。

 ノーベル平和賞の授賞理由としては、1956年に結成されて以来、「核兵器の使用がもたらす人道上の破滅的な結果について認識を高める為、たゆまぬ努力を続けてきた」事が評価された。

 今回の日本被団協のノーベル平和賞受賞は、日本人に改めて「戦争」や「平和」の意味について考えさせる契機となった。

 では、戦後の日本人は、戦争というものをどのように受け止めてきたのだろうか。

 一般的には、占領軍によるプロパガンダや言論統制を通じて、「戦争の全ての責任は日本にある」とする「日本悪玉論」を植え付けられてきたとされる。

 だが日本人自らが、積極的に「日本悪玉論」を受け容れてきた事も見逃せない事実である。

 その事が最も象徴的に顕れたのが、「戦争被害受忍論」であった。

 1968年、戦争で失われた海外資産の補償を求めた裁判の最高裁判決において、「戦争被害受忍論」の判例が打ち出された。

「戦争被害受忍論」とは、国家の非常事態である戦争では皆大変だったのだから、生命や財産などに被害を受けたとしても、受忍すべしという考えである。

 そしてこの「戦争被害受忍論」は、1968年以降の日本における補償裁判を支配し続けた。

 当時、他にも数多くの戦災補償裁判が行われていたが、米軍による空襲の被害などについても、「戦争被害受忍論」の論理で、あらゆる戦災被害者達の訴えは棄却された。

 こうした事は、原爆被害者の場合も同様であった。

 1980年に厚生大臣の私的諮問機関「原爆被爆者対策基本問題懇談会」(基本懇)の答申が示された。

 その内容は、「およそ戦争という国の存亡をかけての非常事態のもとにおいては、国民がその生命・身体・財産等について、その戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、それは、国を挙げての戦争による『一般の犠牲』として、全て国民が等しく受忍しなければならない」というものであった。

 この答申内容もまた、1968年の最高裁判決で示された「戦争被害受忍論」の判例を踏襲している。

 そうした「戦争被害受忍論」は、現代の若い世代の人々にとっては信じ難い理屈であろう。

「みんな大変だったのだから我慢せよ」という論理が成立するならば、昨今の震災被害や豪雨被害などについても、国は何もせずに放っておいて良い事になってしまう。

 戦後の多くの日本人が「戦争被害受忍論」を受け容れてきた理由は様々である。

 国に余計な負担をかけるよりも、むしろ国を豊かにしてゆくべきだという意識が、当時の多くの日本国民の中にあった事も要因の一つであろう。

 とりわけ高度経済成長の時代においては、「過去にこだわるよりも、豊かな未来を目指そう」という一般的な風潮があった事は否定出来ない。

 だが、戦後の日本で「戦争被害受忍論」が通用してきた最大の理由は、「あの戦争は、そもそも我々日本人が原因だった」「全て日本人が悪かった」というフィクションや歴史観を、日本国民が積極的に受け入れていた為である。

 つまり、戦災で被害を受けたとしても、それは「自業自得」「因果応報」なのだから仕方がない、だから我慢すべし、という理屈である。

 これらはいずれも、比較的日本人の宗教観や感性に合致した論理であった為に、国民に広く受け容れられてきた。

 悪い事が起きた時には、他人のせいにするのではなく、自分に原因があると考えて自らを律してゆくべき、という思考様式は、日本人特有のものである。またそれが、日本人が世界中の人々から愛される理由でもある。

 だが皮肉な事に、「日本悪玉論」を受け容れた事によって、「日本が悪かったのだから、アメリカが日本に原爆を落とした事は正当な行為だった」という論理をも認めざるを得なくなったのである。

 こうした「原爆正当化論」は、元々は米政府当局側の主張だったのであるが、「日本悪玉論」とセットにして、日本人の多くにも受け容れられるようになった論理である。

 日本国内で核兵器禁止運動や反核思想が根付かない事情には、このような背景がある。

 その一方で、悪い事は何でも他者のせいにして恨み続ける国の人々も存在する。ただしそうした国の人々もまた、その国独自のフィクションや世界観によって洗脳されているだけである。

 このように全て人間は、何らかの虚構の観念体系の中で生きている存在なのである。



「国家」や「国民」の論理を超えたネット世代



 ヘブライ大学のユヴァル・ノア・ハラリ教授は、その著書『サピエンス全史』において「認知革命」の概念を提起した。

 認知革命とは、ホモ・サピエンスが約7万年前に獲得した、思考様式の革命的変化を指す。

 認知革命によって、人類は虚構(フィクション)を創造したり、また虚構を信じる能力を獲得した。さらに他者との間に「虚構を共有する」能力をも獲得した。

 そして、虚構や架空の事物について人々が認識を共有する事により、人類は協力して様々な物事を成し遂げる能力を獲得したのだった。

 因みに近代社会においては、同じ虚構や物語を共有している人々が「国民」と呼ばれ、その枠組みが「国家」とされた。

 それが、21世紀の現代世界においては、バーチャルなネット空間が地球規模で形成されることにより、近代に作られた「国家」や「国民」といった虚構が解体されつつある。

 ネット空間は多様性の世界であり、あらゆるフィクションや虚構を包含している。そして個々の人間は、それらの中から自由に価値観を選択し、各々の人格が形成されてゆく。

 それと同時に、人々はネットを通じて、自分が抱いていた価値観とは異なる様々な価値観が存在する事を知るようになった。

 そのためネット世代の人々は、「国家」の命令に唯々諾々と従うような事は無い。

「国家」も数ある虚構の中の1つに過ぎない事を、ネット世代はすでに熟知しているからである。

 例えば、2024年12月3日の韓国非常戒厳令に際して、戒厳軍として動員された軍人や兵士達は、大統領の命令には従わなかった。その結果、戒厳体制は僅か6時間で崩壊した。

 また、ウクライナ戦争に動員されているロシア兵士達の間では、サボタージュが横行している。戦線が膠着している要因の多くには、サボタージュの影響が見られる。

 さらに中国では、未だに毛沢東の文化大革命を理想とする習近平が台湾を武力侵攻しようとしているが、肝心の中国軍の兵士達は全く異なる意識で動いている。

 ネット世代にとって「世界」とは、人々のネットワークによって構成されている存在である。あくまで「人間」が世界を形成しているという意識であるため、ネット世代にとって「国家」などは相対的な意味しか持たない。

 しかしながら旧世代の人々は、あくまでも「国家」を基準にして「世界」を認識しているため、「国家」が絶対的な意味を持つ。

 こうした世代間の意識の乖離がもたらす影響は大きい。

 例えば「戦争」とは、「国家」を絶対視する旧世代の意識によってもたらされた異常現象に他ならない。

 従って「国家」を相対化するネット世代の人々が、「戦争」に積極的な意義を見出す事は無いのである。



北朝鮮による韓国併合へ



 2024年12月3日、韓国の尹錫悦大統領は「非常戒厳」を宣布し戒厳軍を動員したが、軍が大統領の思うように動かず、止むなく6時間後に大統領は戒厳を解除した。

 これに対し、韓国国会は12月14日、尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案を可決した。

 かくして尹大統領の職務は直ちに停止され、韓悳洙首相が代行することになった。

 この後、180日以内に憲法裁判所が弾劾を承認すれば尹錫悦氏は大統領職を解任され、さらに60日以内に大統領選が実施されて新大統領が選出されることになる。

 ここまではどのメディアも一様に報じてきた内容であるが、実はそれ以外に決して見過ごしに出来ない問題がある。

 それは、韓国国会で定数の3分の2以上の賛成で可決された「弾劾訴追案」の内容である。

 この弾劾訴追案は、最大野党「共に民主党」が発議したものであるが、その文面の中には下記の文章が含まれている。

「いわゆる価値外交という名の下に地政学的なバランスを度外視して北朝鮮、中国、ロシアを敵視し、日本中心の奇異な外交政策に固執し、日本に傾倒した人物を政府の主要な職位に任命するなどの政策を展開した」

「北東アジアでの孤立を招き、戦争の危機を引き起こし、国家の安全保障と国民保護の義務をかなぐり捨ててきた」

 即ち、この弾劾訴追案が国会で可決されたという事は、単なる大統領への弾劾に留まらず、これまで尹政権が実施してきた韓国外交を全否定し、日本を重視する外交政策をやめて、北朝鮮、中国、ロシアを重視する外交政策へと転換する事を、韓国国会が決議した事を意味する。

 つまり野党「共に民主党」は、上記のような文章を弾劾訴追案に盛り込む事によって、韓国の外交方針を180度転換する事を国会で決議させたのである。

 こうした事情の為、与党「国民の力」は、あくまで野党「共に民主党」発議による弾劾訴追案に対し、反対を続けていたのであった。

 しかしながら、最終的には与党側から12名の造反者を出す結果となり、12月14日、弾劾訴追案が国会で可決された。

 そして今後、韓国の憲法裁判所が弾劾を認めた場合に、次の大統領選での選出が最有力視されているのが、「共に民主党」代表で強い反日感情を持つ李在明氏である。

 現在、李在明代表の支持率は52パーセントであり、次期大統領に選出される事はほぼ確実と見られている。

 李在明氏は、京畿道・城南市長、同道知事を経て中央政界入りした人物である。

 同氏は「リベラル派民族主義者」とされているが、外交には疎く、教養も乏しく、反日感情だけが強烈という、土着的ポピュリスト政治家の典型である。

 韓国には、こうした「反エリート主義者」が一定の支持を獲得する土壌が存在する。そのため同氏は「韓国のトランプ」とも評されている。

 これまで同氏は、「日本は軍事大国化を目指し、韓国が実効支配している独島(竹島)をめぐり韓国を挑発、歴史問題でも心から反省などしていない!」などと主張してきた。

 そればかりか李在明氏はこれまでにも、「韓半島が分断されているのはおかしい。日本が分断されるべきだ!」「私は目的の為なら多少の犯罪やルール違反もありだと考えている!」「韓国を二度と親日派が存在する国にならないようにする!」「日本人は福島の汚染水を飲料水として飲め!」等々、異常とも言える問題発言を繰り返し続けてきた。

 しかも同氏は現在、公職選挙法違反、収賄など、刑事裁判を5件も抱えており、「疑惑のデパート」と称されている人物でもある。

 このように李在明氏は、一種の狂気を孕んだポピュリストと言える。

 同氏の狂気ぶりは、かつて日韓関係を史上最悪の状態に陥れた文在寅・前大統領が、まともな人間に見えてしまうくらいのレベルである。

 従って、かりに李在明氏が大統領に就任したとしても、正常な外交関係などは決して期待出来ない。

 それどころか、李在明氏が大統領に就任した場合には、韓国外交は北朝鮮による半島統一に向けて動き出すであろう。

 またその際には、トランプ次期大統領の役割が極めて大きくなる。

「米国第一主義」のトランプ氏は、かねてからの公約であった「在韓米軍の撤退」を、大統領2期目には必ず実現させようとしている。

 さらに、反米主義者の李在明氏が韓国大統領になった暁には、韓国政府も在韓米軍の撤退を強く要求するはずである。

 このように米韓両国のトップ同士の思惑が一致するのであれば、在韓米軍の撤退が実現する事は間違いない。

 かくして韓国には「力の真空状態」が生まれ、北朝鮮軍による韓国の軍事占領は時間の問題となる。

 今から半世紀前の1975年4月、米軍が完全撤退した南ベトナムに、北ベトナム正規軍が武力侵攻し、それまで南北に分断されていたベトナムは統一された。

 それから50年を経た今日、韓半島でも同じ歴史が繰り返される事になりそうである。



トランプ次期米大統領の世界戦略



 2期目の米トランプ政権の外交戦略は、米国がロシアや北朝鮮と協力して、中国を封じ込める事にある。

 徹底したリアリストのトランプ氏は、全てをディール(取引)として行動する。

 トランプ氏にとっては、自分と同様にリアリストであるプーチンや金正恩などは、ディールの相手として相応しい存在である。そのためトランプ氏は、プーチンや金正恩を尊重している。

 一方、理想主義者や夢想家のタイプは、トランプ氏からは決して相手にされない。

 例えば毛沢東主義者の習近平などは、ディールの相手にならない為、トランプ氏にとっては切り捨て対象なのである。

 因みにトランプ大統領の1期目の時には、韓国の文在寅大統領も切り捨て対象であった。

 同様に今後は、李在明が大統領になった韓国も、トランプ氏から切り捨てられる事が予想される。

 現在、ロシアは親中を装っているが、実はプーチンは旧ソ連のDNAの継承者であり、本心は根っからの「反中国」である。

 さらに習近平が旧清朝時代の領土をロシアから奪還しようとしている事も、プーチンはよく知っており、中国に対する警戒を強めている。

 また北朝鮮も表面上は親中のように見えるが、実際の金正恩は政権発足当初から一貫して「反中国」であり、とりわけ政敵であった異母兄の故・金正男を、かつて中国が庇護していた事を今もなお根に持っている。

 つまり、トランプ氏とプーチンと金正恩の三者は、「反中国」という点で「同志」の関係にある。

 一方、李在明が政権の座に就けば、韓国が親中になる事は明らかである。

 北朝鮮の金正恩と親密な友好関係にあるトランプ氏にとっては、反米・親中の李在明が統治する韓国などは、むしろ北朝鮮に支配された方が良いと考えているであろう。

 なお北朝鮮軍が韓国に侵攻する際には、ウクライナ戦争で北朝鮮に「援軍」を依頼して借りを作ったロシア軍も、北朝鮮に加勢する可能性がある。

 このように、もし韓国に親北の李在明政権が成立した場合には、北朝鮮による韓国併合の事態は避けられない。

 そして日本にとって、これは決して「対岸の火事」ではない。

「半島有事」の際には、韓半島から日本海沿岸に押し寄せる大量の韓国人難民を受け入れる事が、我が国の喫緊の課題となるからである。

 7世紀に百済が唐・新羅によって滅ぼされた際、百済の難民を倭国が受け入れたように、今回は当時の数万倍の規模で難民救援を実施しなければならない。

 日本もいよいよ「戦争」や「平和」について本格的に考えなければならない時機に来ていると言えよう。

 しかも、今後数年以内に確実に到来する「半島有事」と「台湾有事」とは、ほぼ同時期に発生する確率が高いと見られる。

 やがて韓国全土が金正恩率いる朝鮮労働党の支配下に入り、自由も人権も民主主義も完全に失われてしまった後になって、韓国国民は一体何を思うであろうか。

 後世の歴史家達は、「2024年12月が韓国の歴史における最大の転換点だった」と記すことになるであろう。

 そして、「尹錫悦大統領による非常戒厳宣言は、果たして間違いだったのか?」という議論が、延々と繰り返されることになるだろう。

 尹大統領は非常戒厳の理由として、「従北勢力や反国家勢力から韓国を守り、自由民主主義の憲法秩序を守るため」としていた。だがその程度の内容であれば、戒厳宣言の理由としては弱すぎる。

 尹大統領が、12月のこの時期に非常戒厳を宣言しなければならなかった本当の理由は、「在韓米軍撤退」を公約に掲げるトランプ氏が、11月の米大統領選挙において選出された事にあった。米大統領の正式な就任は、1月20日に迫っている。

 朝鮮戦争停戦以来、一貫して韓国という国家の存立を支えてきた在韓米軍の撤退を目前にして、韓国大統領が戒厳令を発した事は、決して間違った判断だったとは言えない。

 韓国にとって在韓米軍の撤退は、そのまま「国家の消滅」を意味するからである。

 そうした最高レベルの国家的危機が迫っている状況は「戦時に準じる事態」に相当する為、戒厳令の発出要件は十分に満たされていたと言える。

 だが結果的に、韓国国民は非常戒厳を拒絶し、北朝鮮による韓国併合への道を開いてしまった。

「軍による戒厳体制か、それとも共産党支配の独裁体制か」という究極の選択肢が突き付けられた場合、果たしてどちらを選ぶべきだろうか。

「国家」を主体とする世界に生きる限り、このように「どちらの地獄を選ぶべきか」という悪魔の選択から、決して逃れられないのである。



台湾有事から中国本土内乱へ



 最近になって、中国の国防部長は、魏鳳和、李尚福、董軍と、3人連続で失脚した。

 中国で過去に国防部長が連続で失脚したのは、初代国防部長だった彭徳懐と、それを引き継いだ林彪だけである。しかもこれらの失脚劇は、いずれも文化大革命の混乱期における出来事であった。

 中華人民共和国の歴史において、3人連続で国防部長が失脚した事など、これまでに前例が無い。

 そのため、現在の人民解放軍では、毛沢東時代以来の壮絶な大粛清が起きていると見られている。

 魏鳳和が国防部長になった時に、習近平は台湾統一計画とロシアからの旧清朝領土奪還の戦略について魏鳳和に意見を求めたという。

 習近平は、とりわけ2027年までの台湾統一戦略について、ポジティブな意見を期待していたようだった。

 だが魏鳳和は、軍事の専門家として冷静な分析の結果、習近平の世界戦略について否定的な見解を述べたようである。

 そしてこの事が、魏鳳和から始まる軍幹部の大粛清の原因になったと言われている。

 実のところ、現在の人民解放軍の兵士達の士気は極めて低く、習近平が期待しているレベルには到底及ばない。

 そうした事情を最も熟知しているのが、現場の指揮官達である。

 一方、習近平はこれまで一貫して党の人間であった為、軍については全く無知である。

 習近平と軍との軋轢は、当分の間続く事が予想される。

 しかしながら、現在の解放軍内部の混乱がやがて収束した後には、軍の指導部は習近平のイエスマンだけで固められることになるだろう。

 そして習近平の目指す台湾武力侵攻に反対する側近がいなくなれば、それは必ず実行されることになる。

 なお、これと全く同じ経緯で、2022年2月のロシア軍のウクライナ侵攻は実行された。

 プーチンによってロシア軍の首脳が粛清された後、イエスマンで固められたロシア軍幹部達は、口を揃えて「ウクライナの首都キエフは開戦後1カ月以内に陥落可能」などとプーチンに進言していた。

 だが実際には、ロシア軍の進軍は停滞し、1カ月どころか、開戦から3年近く経っても首都キーウには遠く及ばない。

 ロシア軍首脳部も、現場の兵士達の信じ難いほどの士気の低さについては、想定外だったようである。

 仕方なく、その後は死刑囚などの囚人達を兵力として動員したり、挙句の果ては北朝鮮から援軍を要請したりと、なりふり構わぬ派兵を展開しているが、泥沼状態からは抜け出せそうにない。

 このように、現場の兵士達にやる気が無ければ、軍は機能しないのである。

 これはどこの軍でも同様である。

 韓国の非常戒厳の際にも見られたように、戒厳軍にやる気が無ければ、戒厳令も効力ゼロなのである。

 従って、今後もし中国軍が台湾に武力侵攻を始めたとしても、ウクライナ戦争と同様の泥沼に陥ってしまう事が予想される。

 しかもウクライナのケースとは異なり、一旦有事の際には、日米台は事実上の同盟国として対応することになる。

 日米両国は、台湾に対して派兵はしないが、それ以外の全ての援助を台湾に供与するであろう。

 また日米両国は、台湾有事を想定した作戦計画で、南西諸島とフィリピンにミサイル部隊を配置する方針を決定した。

 こうした状況下で、中国軍が台湾全土を軍事占領する事は到底不可能である。

 そもそもほとんどの中国人民にとっては、台湾の事など、どうでも良い話なのである。

 それよりも、「経済を早く立て直してくれ」あるいは「今の苦しい生活を何とかしてくれ」というのが、一般の中国人民の思いであろう。

 実際のところ、「台湾統一」に執着しているのは、習近平ただ一人だけと言ってよい。

「毛沢東の悲願を実現する」などという、習近平の独りよがりな英雄願望に付き合わされている軍幹部や党幹部達も迷惑であろう。

 何よりも、そうした個人の野望の為に殺されてゆく一般兵士達は、悲劇以外の何物でもない。

 さらに台湾戦線で多数の中国人兵士が次々と犠牲になってゆく事態になれば、中国人民の厭戦気分は、やがて反政府・反共産党の意識へと転化するであろう。

 もし台湾戦争が泥沼化するならば、それは中国本土における民衆蜂起の契機となる。

「戦争から内乱へ、内乱から革命へ」(レーニン)というテーゼが、現代の中国において実現される事になる。

 因みに1917年のロシア十月革命は、ロシア軍兵士のストライキを契機に始まった革命であった。

 2024年12月3日の韓国非常戒厳の際、戒厳軍が大統領に従わない事によって体制を崩壊させたように、中国人民解放軍が中国共産党に従わなくなれば、習近平体制は確実に瓦解するであろう。

 そしてそれは、中国共産党支配の終焉をも意味することになる。

 一方で、「国家」の論理を超えたネット世代は、着実に増殖し続けている。

 毛沢東時代の旧態依然とした世界観のままで生きている習近平や中国共産党に、ネット世代の十数億もの中国人民を統治する能力は無い。

「国家」中心の世界にこだわってきた旧世代が、「人間」中心の世界を生きるネット世代に取って代わられる事は、歴史的必然なのである。














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