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混沌の世界から調和ある世界に向けて
2024年・新年の御挨拶
[2024.1.1]
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本年も宜しくお願い申し上げます |
2024年1月1日 |
調和ある世界を目指して
新年明けましておめでとうございます。
御蔭様をもちまして、宇宙文明フォーラムは今年で3年目を迎えます。
この「宇宙文明フォーラム」という名称は、英訳では "Cosmos Civilization Forum"となります。
因みに "Cosmos"は、「宇宙」の他に「調和」を意味します。
即ち "Cosmos Civilization Forum"とは、「調和ある文明」を目指すフォーラムでもあります。
現在の混沌とした世界を真に調和した世界へと転換させてゆく事もまた、当フォーラムが目指す重要なテーマです。
今年2024年は、国内外の不安定と混乱の度合が一段と強まり、稀にみる激動の1年になるものと予想されます。
そうした時代において、調和ある世界を目指し、本年も尽力して参ります。
今年は全世界の大半の国々で選挙が実施される年で、有権者総数は約40億人と言われます。
言い換えれば、今年は民衆の意思によって世界の在り方が変わる重要な1年でもあります。
1月には、対中関係を争点にした台湾総統選挙が実施されます。この結果次第で、台湾有事の動向が左右されることになります。
また3月には、ウクライナ戦争で膠着状態にあるロシアの大統領選挙が予定されており、プーチン大統領の再選が確実視されています。
そして11月には、バイデン大統領とトランプ前大統領の再戦となる米国大統領選挙が実施されます。
これらの選挙の動向を左右するのが、ウクライナやガザでの戦争をはじめとする国際情勢ですが、同時にこれらの選挙の結果が国際情勢に大きく影響を与えてゆくことにもなります。
ウクライナ戦争が膠着状態の現在、米国では共和党をはじめとしてウクライナ追加支援に慎重な声が出始めています。
一方、ガザ地区への攻撃を続けるイスラエルに対しても国際的な批判が強まっており、米国のバイデン大統領は難しい舵取りを迫られています。
ウクライナ戦争を停戦に持ち込めず、イスラエルの攻撃も止められない米国の指導力の低下が顕著になれば、秋の米大統領選では政権交代が予想されます。
こうした激動の世界の中で、私達は何を為すべきかを真剣に考えなければなりません。
長期化するロシア・ウクライナ戦争
今年はロシアのウクライナへの侵攻開始から3年目に入りますが、ウクライナによる反転攻勢は難航しており、思うような戦果を上げられない状況です。
ロシアにウクライナ全土の約20%を占領されている状況下、ウクライナ内部でも軍の不満や政府内の路線対立が噴出し始めています。
米バイデン政権は、ウクライナ追加支援の為に総額1000億ドルを超える補正予算を提案していましたが、共和党が過半数を握る米上院が12月6日に補正予算の審議を進める動議を否決した為、今年春以降のウクライナ支援予算は成立の目途が立っていません。
ウクライナ支援に対して米共和党は消極的な姿勢を強めており、今後は米国による対ウクライナ軍事支援が困難になりそうです。
また欧州連合(EU)も一枚岩ではなく、ウクライナへの「支援疲れ」が見えています。
一昨年春のウクライナ侵攻直後には、西側諸国は「戦争は短期で収束する」という前提でウクライナへの支援を約束していましたが、あれからすでに2年近くが経過し、本格的な泥沼戦に陥ってしまった以上、ウクライナ支援の方針も根本から見直さざるを得なくなったようです。
EU事務局は、ウクライナのEU加盟交渉の開始については合意しましたが、ウクライナのEUへの正式加盟の実現は難航するものと考えられます。
一方、ロシアの側も兵員や弾薬の不足が言われていますが、ウクライナの劣勢はそのままロシアの優勢を意味する為、少なくともプーチン大統領にとって、情勢は3月のロシア大統領選の再選に向けて有利に推移しているようです。
プーチン大統領は直近の世論調査でも80%超の支持率を得ているとされ、大統領選ではプーチン氏の圧勝が既定路線となっているように見られています。
ロシア国内の世論調査による「80%超」の支持という数字自体はかなり怪しいのですが、政敵を平気で暗殺するような元KGBのプーチン氏が大統領選で敗れる事はまず無さそうです。
プーチン大統領は、大統領選挙で2030年までの大統領在位を確実にした後(憲法上はさらに1期、2036年まで大統領職に留まることが可能)、ウクライナの占領地のロシア化を一段と進めることになりそうです。
同時にロシアは、イランや北朝鮮との関係強化のみならず、BRICSやグローバルサウスなどとの関係強化を図りつつあります。さらに中国とも強固な関係を構築しています。
米国のバイデン大統領にとっても、ウクライナ戦争は国内政治的には微妙な問題となっています。
上にも述べたように、今年春以降のウクライナ軍事支援に必要な予算は宙に浮いたまま未確定の状態です。
さらに今年夏には、トランプ前大統領が大統領選で共和党の候補に決まる事が確実視されており、そのトランプ候補はロシアのプーチン大統領寄りの姿勢をとっています。
このように、米国世論全体がウクライナ支持でまとまる可能性は低く、むしろバイデン大統領に対しては、「外交努力によって早期停戦に持ち込むべき」との世論圧力が高まりそうです。
しかしながら現状では、ウクライナにとって有利な形で戦争を調停させ得る見通しは無く、ウクライナ問題はバイデン大統領にとって選挙戦において不利な要因になるだけです。
一方、米国にとっての真の脅威はあくまで中国であるため、対中強硬派のトランプ氏をはじめとする米共和党は、米国がロシアと和解して中露を分断し、中国を孤立させ封じ込めるべきとする世界戦略を構想しています。
これは、半世紀前のニクソン・キッシンジャー外交の逆パターンです。
その際には、かつてニクソン大統領が中華民国(台湾)を見捨てたように、政権2期目のトランプ新大統領はロシアを味方に付ける為にウクライナを見捨て、ロシアにとって有利な形でウクライナ戦争の仲介に入り「即時停戦」を実現するものと考えられます。
日本の政治家や官僚には思いもつかないような発想ですが、米国は昔からこのような外交が出来る国なのです。
出口が見えないイスラエル・ガザ戦争
バイデン政権にとって頭を悩ませるもう一つの問題は、長期化の様相を呈してきたイスラエル・ガザ戦争です。
イスラエルのネタニヤフ政権は、どれだけ国際的批判が強まろうと、ハマスを殲滅するまで戦うとの姿勢を変えることはなさそうです。
パレスチナ人の自治を認める事を定めたオスロ合意が締結された1993年以降、ヨルダン川西岸の自治区は平和を取り戻した一方、ガザ自治区においてはハマス勢力を中心に長年にわたりテロが継続してきました。
ネタニヤフ政権は強硬論を掲げる極右政権であり、イスラエル国家の存続を脅かすハマスはネタニヤフ首相にとって「天敵」であるため、ハマスが地上から消滅するまで戦いをやめることはないでしょう。
イスラエルにとって今回のガザ戦争は、単にテロへの報復に留まらず、平和実現に向けたハマス根絶の戦いとして位置付けられています。
しかしながらイスラエルによるガザ攻撃は、「自衛権の行使」の範囲をはるかに超えており、多数の民間人の犠牲を伴う国際人道法違反の行為であることは否定出来ません。
ハマスの奇襲により民間人1200人が犠牲になったのに対し、イスラエル軍によるガザへの攻撃では1万8千人もの民間人が犠牲になったとされています。
こうしたイスラエル軍の行為は、国際法で禁じられている民間人に対する無差別攻撃であり、さらにそれは民族の集団抹殺を禁じた「ジェノサイド条約」にも抵触する可能性があります。
元々イスラエル支持の姿勢をとっている欧米諸国でも、各国内では「イスラエルの攻撃は非人道的だ」として、若者層を中心に反イスラエル感情が高まっています。
そうした状況下で、当初はイスラエル全面支持を表明していた米バイデン大統領も、最近ではイスラエルに自制を呼び掛け、それに応じないネタニヤフ政権を非難するようになりました。
その背景には、イスラエルへの全面支持を続けた場合、米国自身が国際的に孤立する状況になるという事情があります。
国連のグテーレス事務総長により提案された12月8日の安全保障理事会におけるガザの停戦決議では、拒否権を行使したのは米国だけで、米国の国際的孤立が明白になりました。
ウクライナ戦争についてはロシアの拒否権行使により国連安保理は機能しなくなっていますが、ガザ戦争では米国の拒否権行使によって国連が機能しなくなっています。
いつも大切な局面で必ず機能停止してしまう国連の存在意義が問われなければなりません。
今後は、イスラエルによるガザ攻撃が続けば続くほど、国際社会における米国の孤立は強まることになり、米国内においてはバイデン大統領の支持率が低下していくことになります。
バイデン政権としては、出来るだけ早くガザ戦争を収束させたいところですが、イスラエルのネタニヤフ政権が容易に和平提案を受け入れることはないでしょう。
むしろネタニヤフ首相としては、来年に実現するはずのトランプ次期大統領の登場を大いに心待ちにしているところがあります。トランプ大統領は、政権1期目の時に聖地エルサレムをイスラエルの正式な首都として承認してアメリカ大使館をエルサレムに移転するなど、ネタニヤフ政権にとっては最も好ましい存在です。
またロシアのプーチン大統領も、トランプ大統領が再登場すれば、ロシアに有利な形でウクライナ戦争を収束させる事が出来ると期待しているところです。
こうして見れば、ロシアのプーチンもイスラエルのネタニヤフも、来年の「トランプ待ち」のスタンスですから、今年中に2つの戦争が終わる事は決してありません。
ウクライナ戦争もガザ戦争も、来年以降まで継続する事は確実です。
台湾総統選と台湾海峡危機
一方、米中関係では、昨年11月のサンフランシスコにおける米中首脳会談で、「対立すれども衝突せず」という形で意見の一致を見ました。
こうした状況下で、今年1月に実施される台湾総統選挙が、米中関係を安定の方向に向かわせるのか、それとも衝突のリスクを高めることになるのか、世界中が注視しています。
現状では民進党の頼清徳候補(副総統)と国民党の候友宜候補との接戦が予想されています。
親中派と言われる国民党も、一国二制度が香港で破綻したのを見て、仮に政権をとっても米国から離れて直ちに中国本土との統一に向かうことはないと思われます。
そもそも国民党が「台湾独立」に反対して「大陸志向」であるのは、いずれ大陸に復帰して共産党政権を打倒し、中国本土に国民党政権を樹立して首都を再び南京に置く、という壮大な目標がある為です。
その目的の為に、現在は来たるべき「第三次国共内戦」の前段階としての「第三次国共合作」の政策として、中国共産党と和解しようとしているだけです。
このように、古来より中国人は数十年・数百年先を展望して国家戦略を立てる深謀遠慮に長けた民族です。
一方、中国共産党としては「台湾統一」が絶対に成し遂げるべき最重要課題である為、中国当局は国民党への積極的支援を強めています。
そして近い将来に中国が台湾を併合してしまえば、これまで利用してきた国民党を粛清して台湾にも共産党一党独裁を敷く予定です。
こうした中国共産党の手口は、かつての第二次国共内戦の事例や近年の香港の事例を見ても明らかです。
今年の台湾総統選挙においては、中国共産党が国民党を勝たせようとして、現与党に対するネガティブ・キャンペーンや様々な裏工作を展開することになるでしょう。
現状では与党民進党の勝利が予想されていますが、中国当局の出方次第では、その後の展開がどうなるか予断を許しません。
今回の台湾総統選挙の民進党の頼清徳候補は、「台湾独立」への志向が強い為、頼清徳氏が勝利した際には、中国は台湾海峡での大規模軍事演習などを通じて台湾に圧力をかける事が予想されます。
とりわけ1月の総統選挙から5月の総統就任式に至る期間は、台湾海峡の緊張が高まることが想定され、米国大統領選挙を巡る状況如何で米国の対応も変わってくる可能性があります。
1996年に発生した台湾海峡危機に際しては、米国が空母一隻を台湾周辺に派遣することで事態は収束しましたが、あれから30年近く経った現在、果たして当時と同様の対応を米国がとれるかどうか、またその場合に中国側がおとなしく引き下がるかどうか、全く予想がつかない状況にあります。
最前線の「鉄砲玉」や「跳ね返り」の兵士達による不測の突発的行動次第では、即「台湾有事」という事態も考えられます。
因みに、ウクライナやイスラエルの問題とは違って、米国では対中強硬論については国論が統一されやすい傾向にあります。
そうした意味でも、秋の米大統領選では、バイデン政権の対中宥和策を非難している対中強硬派のトランプ氏に有利に働くと思われます。
米大統領選と日本の行方
今秋の米国大統領選挙では、4件の刑事訴訟を抱えたトランプ前大統領と、81歳になり高齢が懸念されているバイデン大統領の争いになると想定されています。
現状においては、トランプ氏を支持する岩盤支持層に揺らぎはなく、しかも刑事訴訟のたびにトランプ支持率が上昇するという現象が起きており、トランプ氏の優勢が予想されています。
トランプ氏は、「米国を再び偉大に(Make America Great Again)」や「米国第一(America First)」のスローガンの下、「強い米国」を目指しています。
選挙戦でトランプ陣営は、バイデン政権によってもたらされた「弱い米国」の現状を徹底的に糾弾して有権者にアピールすることでしょう。
ウクライナ戦争を停戦に持ち込めず、イスラエルのガザに対する非人道的な攻撃も制御出来ず、台湾海峡では緊張がますます高まるなど、米国の国際的指導力の低下は誰の目にも明らかです。
バイデン大統領は、これから11月の大統領選挙までの期間、如何に外交で成果を上げられるかが再選への大きな鍵になるでしょう。
しかしながら、ロシアもイスラエルも「トランプ待ち」のモードで、停戦などする気はさらさら無く、中国は台湾併合の機会を虎視眈々と窺っている状況にあり、バイデン大統領としては打つ手なしの八方塞がりの状態です。
米国のみならず、世界中がトランプ氏の再登場を期待するようになるのが、2024年の大きな特徴になることでしょう。
さらに今年10月、我が国では自民党総裁選挙が実施されます。
その前に衆議院の解散総選挙が行われる可能性もありますが、支持率20パーセントを割り込みつつある岸田内閣が今年中に退陣する事だけは確実のようです。
ただし問題は、自民党内に首相の器たる人材が存在しないという事実です。
一国の指導者に必要なのは、確固とした国家観や哲学に裏付けられた政策と実行力です。
昭和期の岸信介、池田隼人、佐藤栄作、田中角栄といった首相の時代には、政策の善し悪しはともかくとして、彼等はいずれも明確な国家観や哲学を持ち、実行力を有していました。
しかしながら、それ以降の首相にそうした力量は見られません。
長期政権であった中曽根内閣や小泉内閣、安倍内閣などは、いずれも本質は「対米従属」政権に過ぎず、「年次改革要望書」などの米政府当局の指示どおりに動く事によって長期政権を維持していただけの「植民地」内閣に他なりません。
「植民地」であれば、これまで米国の要望どおりに日本が弱体化させられ、「失われた30年」がもたらされたのも当然の結果と言えます。
1974年秋に田中内閣が退陣してから、今年で丁度半世紀を迎えます。
この半世紀は、国家にとって「失われた50年」でもありました。
今秋の米国大統領選の時期までには、ポスト岸田の新首相が誕生すると思われますが、果たして激動の国際社会の中で、一国の舵取りが出来る人物であるかどうか、我々国民は注視してゆく必要があります。
本年も当フォーラムを宜しくお願い申し上げます。
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